口内炎について

口内炎とは?基本的な症状と特徴
1口内炎は、口の中の粘膜に起こる炎症性疾患の総称です。多くの方が一度は経験したことがある身近な口腔トラブルですが、その痛みや不快感は日常生活に大きな影響を与えることがあります。
口内炎の症状は様々ですが、最も特徴的なのは触れると強い痛みを感じることです。患部は赤く腫れ上がり、進行すると白っぽいまたは黄色っぽい潰瘍が形成されます。この痛みは食事の際に特に強くなり、日常生活に大きな支障をきたすことも少なくありません。重症の場合には発熱を伴うこともあり、全身の体調不良につながる可能性があります。
口内炎は見た目や原因によっていくつかの種類に分類され、それぞれ適切な治療法が異なります。
口内炎の主な種類と原因
アフタ性口内炎(最も一般的)
アフタ性口内炎は最も頻繁に見られるタイプで、円形または楕円形の浅い潰瘍が特徴です。中央部分が白っぽく、周囲が赤く縁取られています。この口内炎の発症には複数の要因が関与しており、特にストレスや疲労が大きな引き金となることが知られています。また、ビタミンB群やビタミンC、鉄分などの栄養不足も発症リスクを高める重要な要因です。睡眠不足による免疫力の低下、女性の場合はホルモンバランスの変化、さらには遺伝的要因も発症に影響することが報告されています。
カタル性口内炎
カタル性口内炎では、口の中の粘膜が赤く腫れ、痛みや熱感を伴います。アフタ性口内炎とは異なり潰瘍は形成されませんが、粘膜全体に炎症が広がるのが特徴です。この口内炎は主に物理的な刺激が原因となって発症します。熱い食べ物による火傷、歯ブラシによる傷、合わない入れ歯や矯正器具による継続的な刺激、さらには辛い食べ物などによる化学的刺激も発症の要因となります。
ヘルペス性口内炎
ヘルペス性口内炎は、ヘルペスウイルスの感染によって起こる口内炎で、小さな水疱が多数できるのが特徴です。この口内炎は主にヘルペスウイルス(HSV-1)の初感染時に発症しますが、一度感染すると体内に潜伏し、免疫力が低下した際にウイルスが再活性化して症状が現れることがあります。特にストレスや体調不良の時期に再発しやすい傾向があります。
カンジダ性口内炎
カンジダ性口内炎は、カンジダ菌(真菌)の異常増殖によって起こる口内炎で、白いカス状の付着物が見られます。通常、口の中には少量のカンジダ菌が存在していますが、抗生物質の長期使用により口腔内の細菌バランスが崩れたり、免疫力が著しく低下した状態では、カンジダ菌が異常に増殖してしまいます。糖尿病患者や高齢者では唾液分泌量の減少により、この口内炎が発症しやすくなる傾向があります。
口内炎の治療法と対処法

歯科医院での専門治療
口内炎の治療は、その種類と重症度に応じて選択されます。当院では患者様の症状を詳しく診察した上で、最適な治療法をご提案しています。
薬物療法では、ステロイド系軟膏やクリームなどの外用薬により炎症を直接抑制し、痛みの軽減と治癒促進を図ります。症状が重い場合や全身への影響が考えられる場合には、抗炎症薬やビタミン剤、抗ウイルス薬などの内服薬を処方することもあります。また、殺菌・消炎効果のあるうがい薬を併用することで、口腔内の清潔を保ちながら治癒を促進します。
近年注目されているレーザー治療は、痛みの軽減と治癒促進に優れた効果を発揮します。この治療法は副作用が少なく、短時間で治療が完了するため、患者様への負担が軽減されます。さらに、再発予防にも効果的であることが臨床的に確認されています。
重症例に対しては、注射療法としてステロイド注射を行うことがあります。この治療により迅速な炎症抑制効果が期待でき、症状の早期改善が可能になります。
自宅でできるケア方法
口腔内の清潔保持
- 優しいブラッシングで口の中を清潔に保つ
- アルコールフリーのうがい薬を使用
- 患部を刺激しないよう注意深くケア
食事の工夫
- 刺激の少ない柔らかい食べ物を選ぶ
- 熱すぎる、冷たすぎる食べ物を避ける
- 酸味の強い食べ物や辛い食べ物を控える
- ビタミンB群、ビタミンCを積極的に摂取
生活習慣の改善
- 十分な睡眠時間の確保
- ストレス管理とリラクゼーション
- 適度な運動で免疫力向上
- 禁煙・節酒
口内炎の予防法
口腔ケアの徹底
- 正しい歯磨き方法の実践
- デンタルフロスや歯間ブラシの使用
- 定期的な歯科検診とクリーニング
- 口の中の傷を作らないよう注意
栄養バランスの改善
- バランスの取れた食事
- ビタミンB群(B1、B2、B6、B12)の摂取
- ビタミンCと鉄分の補給
- 亜鉛やマグネシウムなどのミネラル
免疫力の維持
- 規則正しい生活リズム
- 適切なストレス管理
- 十分な水分摂取
- 季節の変わり目の体調管理
唾液分泌の促進
- よく噛んで食べる習慣
- 糖分控えめのガムやタブレット
- 適度な水分補給
- 口呼吸から鼻呼吸への改善
いつ歯科医院を受診すべきか

以下の症状がある場合は、早めに当院にご相談ください。特に、糖尿病や免疫系の疾患をお持ちの方、抗がん剤治療中の方は、口内炎が重症化しやすいため注意が必要です。
- 2週間以上治らない口内炎
- 発熱を伴う口内炎
- 口内炎が頻繁に再発する
- 食事ができないほどの痛み
- 口内炎の数が異常に多い
- 口内炎以外の症状も併発している
口内炎と他の口腔疾患の区別
口内炎と似た症状を示す疾患があるため、正確な診断が重要です。これらの疾患は専門的な診断と治療が必要なため、自己判断せず必ず歯科医師にご相談ください。
| 口腔がん | 治らない潰瘍や硬いしこり |
|---|---|
| 口腔扁平苔癬 | レース状の白い模様 |
| 天疱瘡 | 水疱形成後の潰瘍 |
| ベーチェット病 | 再発性の口内炎 |
まとめ
口内炎は適切な治療と予防により、症状の改善と再発防止が可能です。当院では、患者様一人ひとりの症状に合わせた最適な治療法をご提案いたします。口内炎でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
早期の適切な治療により、痛みの軽減と早期回復を目指しましょう。また、定期的な歯科検診により口腔内の健康状態をチェックし、口内炎の予防に努めることも大切です。
ページ監修者
あおやま歯科・武蔵境 院長 青山 浩輔
予防歯科を基盤とし、拡大鏡・マイクロスコープによる精密治療で再発を防ぎます。口腔内カメラを使用した分かりやすい説明と、丁寧なカウンセリングにより、歯科治療に不安をお持ちの方も安心してご来院いただけます。
当院は武蔵境の方はもちろん武蔵野市近隣にお住まいの皆様の健康で笑顔あふれる毎日をサポートするため、スタッフ一同全力で取り組んでおります。
